【学習指導要領改訂に伴う教師の役割について】
前回は、授業を行う際に教師が行うべき以下の3点について解説しました。
②主体的な学びのファシリテート
③対話的な学びのコーディネーション
↓読んでいない人は先にこちらのブログを読んでください。↓
【学習指導要領改訂:体育編】現役体育教師が解説!これらの指導のあり方について。
今回は授業デザインが変化することに伴い、
見直さなければいけない「評価」について解説していきたいと思います。
これからの学校教育において、
より重要視されるのが「指導と評価の一体化」です。
このことをしっかりと理解していないと、
授業デザインを組み立てることができないといっても過言ではありません。
このことを分かっていない教師の授業は評価基準も不明確で、
授業を重ねる事による授業の改善にも繋げられない状態になる恐れがあります。
今回のブログを読んで下記の内容が理解できると思います。
②「指導と評価の一体化」を行うための原則
③生徒の学習過程を見取るための3つの領域
この3つを理解することは非常に重要です。
「指導と評価の一体化」を実現することで、
生徒の到達度を明確に測ることができ、
授業を行う度に教師の授業も改善することができます!
それでは順番に解説していきます!
「指導と評価の一体化」とは何か?
「指導と評価の一体化」を簡潔に述べると下記のような内容になります
「生徒にどういった力が身についたか?」という学習の成果を的確に捉え、教師が指導の改善を図るとともに、生徒自身が自らの学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにする。
文部科学省初等中等教育局 主任視学官 長尾 篤志.“新学習指導要領に対応した学習評価(高等学校編)”
独立行政法人教職員支援機構. https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-02.pdf.(参照2020-12-30)
要するに、生徒の学習改善が得られるとともに、
教師の指導改善にもつながるような評価でなくてはならないということです。
そのためには、これまでの当たり前だったものを再度見直し、
妥当性や必要性について検討していかなければいけません。
教育の現場では、
これまでの慣行で授業や評価をしてしまうケースが少なくありません。

毎回の授業をブラッシュアップしていく必要がありますね!
上記の内容はこれまでも提唱されてきたものですが、
今後さらに重要視されていく内容だと考えています。
「指導と評価の一体化」についてはこのような形になります。
「指導と評価の一体化」の原則
「指導と評価の一体化」についてはなんとなくイメージしていただけたでしょうか?
では、それを実現させるための授業づくりとして外してはいけない原則について解説していきます。
指導と評価を一体化した授業の原則
何を指導するのかを明確にし、指導したことを評価し、次の指導の改善を行う。そして指導した結果を再度評価することが指導と評価の一体化における原則である。
図示するとこのようなイメージです。
VIWE21教育委員会版2019 Vol4,”目標・指導・評価の一体化を図り、未来の学習につながる評価の実現を”ベネッセ教育総合研究所,https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/VIEW21_kyo_2019_03_toku_02.pdf,(2021-1-2)
授業の中での評価とは、教師が一方的に生徒を評価することではありません。
生徒が教師を評価することはありませんし、
教師は評価に対して生徒の意見を取り入れ改善していくという風潮はあまりありません。(実際に私の学校でもそのような風潮はあります)
このようなことは、これからの授業づくりにおいてあってはならないことです。
私は、生徒と教師がともに良い授業を作っていかなければいけないと考えています。
そのための具体的な方法をいくつかお示ししたいと思います。
原則を守るための具体的施策
上述した原則を守るために3つの具体的施策を私なりに考案しました。
2:小まめな評価とFB
3:教師も通知表をもらう
では、一つずつ解説していきます!
1:指導による目標を明確に決める
原則を守るために行わなければいけないのが、授業の目標設定です。
こちらが指導する内容を明確に決めておけば、
生徒の到達度がこちらの指導を改善する材料にもなります。
そのため、授業改善を行うためには一番近くて簡単な方法かもしれません。
私が授業の目標設定を行う際には、
生徒がどれだけ伸びたのか(伸び率)を見るようにしています。
授業で相手にするのは多種多様な生徒であり、
授業の担当によっては一度に100人以上の生徒を教えることになります。
(現に私は、1年生400人を対象に探究学習の授業をしていおります…笑)
そして何より、目標が達成できたかどうかを客観的に評価できる方法が学期毎に
行われるテストでしか測りにくいという点も目標設定を行う際の課題となります。
結論を言ってしまうと、
全ての生徒に対して目標を達成することは難しいと思います。
(こんなことを言うと教師として✖️かもしれませんが…)
また、生徒にも得手不得手があります。
運動の得意な子、苦手な子、知識理解に優れている子、観察力に優れている子
など授業で相手にする生徒は様々です。
そこで有効な目標設定の方法が生徒の伸び率で評価することです。
授業の目標設定はいくつかの目標設定があると思います。
体育で考えると、下記の3点で評価すると思います。
1:知識・技能の習得
→どれだけできたか?理解しているか?
2:思考力・判断力・表現力の育成
→問題や課題を解決し、うまく伝えれるか?
3:学びに向かう力・人間性の涵養
→他者と協力して教えあえれたか?
それらを授業の最初と最後でどれだけ伸びたのか?
という視点で目標を設定してみてはいがでしょうか。
技能
リフティングやシュートの回数が何%伸びたのか?
判断力
ゲームの中で考えられる選択肢がどれだけ広がったのか?
と言ったような感じでしょうか?
そこに定性的な評価を加えるとより生徒の到達度を評価できるのではないでしょうか。
技能
リフティングやシュートの回数が何%伸びたのか?
→最初と比べてどのようにフォーム改善したのか?(知識)
→うまい人と自分を比較してどのような点が異なるのか?(思考力)
判断力
ゲームの中で考えられる選択肢がどれだけ広がったのか?
→具体的にどのような選択肢が考えられた?なぜそのように感じたのか?(知識・思考・判断)
少し細かいかもしれませんがこのように、
「伸び率」という視点で目標を設定すると目標も立てやすく、
生徒を評価する際にも明確になるのではないでしょうか。
*もちろん、最初から技能が高く伸び率が低い生徒も正当に評価してあげましょう。
2:小まめな評価とFB
指導の改善を行う際には、単元の最初と最後だけ評価するだけでは
改善のための材料は少ないと言えます。
せめて前・中・後の3段階ぐらいでは評価を行い、
その都度生徒にしっかりとFBあげましょう。
段階的な評価は生徒も自らの到達度を確認する機会にもなります。
教師も小まめにFBしていくことで、
生徒のことを知ることができて関係性も気付けるはずです。
生徒数が多くなれば少し面倒かもしれませんが、
一言声をかける、一言コメントを返す、普段の授業からのまめな声かけ
をするだけで生徒の有能感は高まり、
授業に向かう姿勢も高めるのではないでしょうか?

生徒が主体的に授業を受けてくれるようになるなら、
それぐらいの労力は容易いことですね!
その際には、プリントやデジタル機器、学習アプリなど様々な方法があるので
教師が行いやすい方法で構わないと思います。
(教師の負担が大きくなりすぎるとそれはネガティブな変化です)
3:教師も通知表をもらう
これが一番早く生徒の意見を取り入れる方法ではないでしょうか?
生徒に対して、授業アンケートを匿名解答させます。
*評価には入れないと示しておくのが大前提です
生徒から直接ストレートな意見を聞くことができるので、
これが最も早くて確実に生徒の意見を聞ける方法だと私は考えています。
しかし、生徒から自分の授業について評価され、
意見を言われるのは正直怖い部分はありますよね?
ですが、私はこれは非常に有効な授業改善の手段だと考えています。
実際に、私は毎学期の授業で生徒に私の通知表を書かせています。
生徒から評価してもらう項目は以下のような内容です。
1:授業で取り組んだ〇〇はどうだったか?
2:授業でもっとこのようにして欲しい・改善して欲しい点
3:授業で良かった点
4:授業を100点満点で評価してください。
おおよそ、こんな感じです。
(その学期で取り組んだ内容によって質問は異なります)
生徒に100点満点で評価してもらうには勇気はいりますが、
生徒は学費を払っています。
学費からお給料をいただいている私たちを、
評価する権利があるべきではないかと思います。
勇気のいることかもしれませんが、
生徒から得られる意見は非常に大きな改善につながります。
生徒は授業について正直に
これが良かった! もう少しこうして欲しい…
と書いてくれます。
そこには、私が予想をしていない答えもたくさんあります。
生徒は実際にそのように感じていたのか…
と感じることはたくさんあります。
そのため、私は生徒の意見から具体的な改善策を練ることができました。
実際に昨年度の保健の授業では1学期→2学期→3学期と
授業をブラッシュアッップすることができ、
授業での生徒の反応や手応えも良くなってきたという経験があります。
授業の中で生徒を評価しながら指導を改善していくという
「指導と評価の一体化」とは少し異なる手法かもしれません。
賛否両論あると思いますが、授業改善に効果的な方法であることは
間違いないと思いますので、勇気のある方は試してみてください!
③生徒の学習過程を看取るための3つの領域
少し長くなりましたが、もう少しなので最後まで読んでいただけると幸いです。
これまで述べてきたように、
授業では、教師が教えることによって児童生徒の変化した部分を見取ることが重要
であり、「指導と評価の一体化」を実現させるための第1歩になります。
そのために押さえておかなければいけない
「体育における3つの認識」
について簡潔に解説したいと思います。
少し原則を守るための方法と重なる部分があるかと思います。
体育における3つの認識
1:課題認識 2:実態認識 3:方法認識
ではそれぞれを簡潔に、
1:課題認識
これは「知識」の部分に当たります。
どれだけその運動・スポーツに対して知っているか、理解しているかです。
*これは伝達するでだけではいけません
2:実態認識
これは「思考・判断・表現力」になります
動きの課題や問題点、自分がどのように動いていたのか?
を認識することを指します。
「課題に気づく」ということになります。
3:方法認識
これも「思考・判断・表現力」になります。
これは、気づいた課題の解決・改善の仕方がわかるということであり、
練習方法や意識焦点が考察できるかどうかです。
これが方法や活動の工夫につながります。
この方法認識はこれからの学校教育で非常に重視されている内容ではないでしょうか?
体育において、生徒が「わかる」というはどのようなことかを考える際には、
上述した3点を押さえておく必要があります。
目標設定や評価の際にこの3点が含まれているかどうかも
チェックするポイントだと思います。
まとめ
長くはなりましたが、「指導と評価の一体化」について解説してきました。
まとめるとこんな感じです。
①「指導と評価の一体化」とは何か?
→生徒を指導し評価することで教師の授業改善にも繋げなければいけない
②「指導と評価の一体化」の原則
→目標設定を明確に立てる、小まめな評価とFB、生徒から通知表をもらう
③生徒の学習過程を見取るための3つの領域
→課題認識、実体認識、方法認識
このような内容を理解しているだけでも
授業はより良い方向に改善されていくのではないでしょうか?
是非、何度も見返してみてください。
次回ぐらいから具体的な授業の指導案や指導案の書き方などに
ついてアウトプットしていこうかなと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
目指せインテリ体育教師!!!
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